「売れる商品」には、その要素のひとつとして優れた商品コンセプトがあります。では、すぐれた商品コンセプトとは、どのようなニーズに応えたものなのでしょうか。
「未充足ニーズ理論」は、梅澤伸嘉が数々のコンセプトテストと市場での成績との相関研究をもとに1986年に発表した「どのようなニーズに応えたら売れるか」を説明する理論です。
消費者ニーズ(消費者が満足を得るために自らの行動を駆り立てる気持ち・意識)の深層には、普遍的な「基本(be)ニーズ」(人生ニーズ)があって、それを満たすために「行為ニーズ(do)」(生活ニーズ)が発生し、そのニーズが商品やサービスに触れると「欲しい」という「対象・所有(have)ニーズ」をもたらすのです。 つまり、商品に触れて「欲しい」と思ったときにはその背後に「行為ニーズ」(生活ニーズ)があり、さらにその背後には「基本ニーズ」(人生ニーズ)が隠れています。このように3種類のニーズは、互いに目的-手段の関係でつながっています。(下図左)
しかし、商品に触れればすべて「欲しい」と思うわけではありません。「行為ニーズ」の「したい、やりたい」の度合の強さ(ニーズの強さ)と、「でも現状ではできない」という満たされない(未充足の)度合がともに高い、「未充足の強いニーズ」に商品が応えたとき、消費者はその商品を「欲しい」と思うのです。
「行為ニーズ」にはこの「強くて未充足」(◎−◎)に加えて、「強いが未充足でない」(◎−×)、「弱いが未充足」(×−◎)、「弱いし未充足でない」(×−×)という4種類があります。下右図(未充足ニーズの田んぼ)参照
商品開発・企画者は、「ニーズが強いか、弱いか」のみを考え、「未充足度が強いか、弱いか」を無視する傾向にあります。「未充足の強いニーズ」に応えた<天才コンセプト>の商品を作ることが大切なのです。